ご覧いただきありがとうございます。駆け出しコインディーラー満元です。
これまでに株式投資、不動産投資、太陽光投資、投資信託、FX、仮想通貨取引、金現物保有などを経験して、アンティークコインにたどり着きました。
様々な投資手法を知る中で、それぞれのメリットデメリットや自分の向き不向き、社会情勢を考慮しつつ、いくつかの運用を続けて利益を上げています。
これはそんな私のコイン投資戦略をまとめたブログです。
今回はアンティークコイン鑑定会社のスラブに表記されるストライク文字や特別ラベルについてお話したいと思います。
購入するなら鑑定済みコインがおススメ!②
スラブの表記と特別ラベル
・世界二大鑑定会社 PCGSとNGC
アンティークは全てが一点物のため、価値が付けづらいカテゴリの一つです。しかしアンティークコインは鑑定会社による鑑定により、厳正な評価基準によって鑑定付けされ、”スラブ”と呼ばれる頑丈で出し入れ不可能なケースに封入されます。
鑑定会社の中でも世界的に認められている二大鑑定会社のPCGS(Professional Coin Grading Services)とNGC(Numismatic Guaranty Company)があります。
鑑定会社はエキスパートによる公平なコインの真贋、情報、状態をグレードとして数値化してラベルに記載し、コインの状態を保全するのに最適なスラブに封入します。世界中のコレクターや投資家から厚い信頼を得ています。
・スラブの表記 ストライク文字とコインの特徴
ストライク文字・特徴にはコインの独自の特徴が記載されます。上の画像の”MATTE”もこれに該当します。他にはPFコインにのみ付与される、”Cameo”や”Ultra Cameo”といったフィールド(コインの何もない平らな部分)とデバイス(肖像やデザイン部分)のコントラストが強く、デバイスのフロスト具合(”艶消し”や”霜降り”とも呼ばれます)がハッキリしているコインに記載されるものもあります。よく見る表記を一覧にしてみました。
以下はプルーフコインにのみ適用されます。
UC
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コインの両面とも、フィールドは深い鏡面仕上げで、デバイスは重厚なフロスト仕上げ、コントラストがハッキリしている。 |
CA
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コインの両面もしくは片面が、フィールドは鏡面仕上げで、デバイスはフロスト仕上げ、コントラストがハッキリしている。
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以下はプルーフコインに適用されません。
DMPL,DPL
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MSコインにのみ適用される。
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PL
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MSコインにのみ適用される。
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以下は銅貨にのみ適用されます。
RD (Red) |
95%以上オリジナルの赤の色 |
RB (Red Brown) |
赤い光沢と茶色が混在。5~95%オリジナルの赤の色。 |
BN (Brown) |
完全、またはほぼ完全なブラウン色。オリジナルの赤の色が5%以下。 |
以下は発行から初期鑑定にのみ適用され、ラベルも通常のラベルとは異なるラベルになります。
FDOI
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発行初期鑑定。コインの販売から一日以内に購入し、発行から7日以内に鑑定もしくは鑑定所に持ち込まれたもの。 |
FS,FR
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発行初期鑑定。発行から30日以内位に鑑定もしくは鑑定所にもちこまれたもの。FSはPCGSのみ、FRはNGCのみ。 |
ER
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発行初期鑑定。発行から30日以内位に鑑定もしくは鑑定所にもちこまれたもの。NGCのみ。 |
これらの発行初期鑑定のラベルは、日本に輸入していたら間に合わないことがほとんどです。狙う場合は即買い、即鑑定出しが必要となります。
グレードが一つ変わればコインによっては1.5倍程度価格が変わりますが、FSやFR、FDOIのラベルの場合は良くて1割程度の価格しか変わらない印象です。
コインによっては、より価値が上がるコインもあります。2009年のウルトラハイレリーフ金貨はもう少し値上がりします。
・何らかの理由でグレーディングされないコイン
またこれらのスラブ表記の他に、何らかの理由により”数字が付かない”コインや”スラブに入らない”コインがあります。どのような理由でこのようなことになるのでしょうか。
一つは”Details”表記のコインです。コインの縁の欠陥やクリーニングされたコイン、重大なひっかき傷があるコイン、表面が加工されたコイン、不適切な保管方法により腐食したコイン、人工的に調色されたコインなどが当てはまります。これらはスラブホルダーに入れられますが、数値はつけられず”Details”となってしまいます。
次に”スラブに入らない”コインです。本物といえないものや偽造されたコイン、PVC残留物が付着したコインなどが該当します。これらのコインは鑑定に出してもスラブに入らずに手元に返ってきます。このようなコインは価値が付かないことがほとんどです。
裸コインを購入する場合は、これらの”何らかの理由”でスラブに入らないコインを購入してしまうリスクも考慮し、実物をしっかりと確認して購入するようにしましょう。もしくは目利きに自信がなければ裸コインは避ける方が無難です。
・PCGSとNGC どちらが優れているのか?
これはよく言われているテーマの一つですね。ではこの二大鑑定会社の鑑定されたコインは、どちらを買えばいいのか?巷の噂では、「PCGSの方がグレーディングに厳しい」、「NGCに出せばより高い鑑定結果で返ってくる」と言われています。特に数年前まで海外国内含め言われていました。
実際にモダンコインではこの傾向が強く、”鑑定した枚数”と”最高鑑定枚数”の比率で見ればNGCの方が高くなっています。この数字を見ると確かにPCGSの鑑定基準の方が厳しそうといえます。
そして市場の取引価格で見るとPCGSで鑑定されたコインの方がわずかに高いことがありますが、その逆もあることも確かです。コインは一枚一枚が異なり、グレードだけでは価値が計れないことが多く、同じグレードでも価格には趣味嗜好性が強く反映されることもしばしばあります。
なので私なりの結論としては、どちらでもいい、ということになります。大事なのはどこの鑑定会社がどんなグレードを付けたか、よりも自分の投資目的・目標に適しているか、でコインを選定するべきだと考えているからです。コインのグレードに納得がいかなければ再鑑定に提出するか、購入しないなどの判断ができます。
モダンコインでPCGSの方が厳しい傾向が強いと述べました。そこについて深堀しましょう。もし私がモダンの裸コインをグレーディングに出す場合、必ず”70鑑定を取りたい”と考えます。誰しもがそう思うでしょう。69鑑定と70鑑定では市場の価値が大きく異なるため当然です。なので”70鑑定が付くコインだけ”を選定してグレーディングに出し、その他は造幣局に返品交換を依頼します。そして70鑑定が取れるコインだけを選定して、他は...(上記を繰り返します)。
ここで鑑定に出すのはNGCです、なぜかというと一枚当たりの鑑定料がPCGSに比べて安く鑑定から返ってくるのが早いからです。これらの理由から、コイン業者のほとんどがNGCにグレーディング依頼するため、NGCの方が鑑定枚数が多く最高鑑定の割合が高いのだろうと予想しています。
この考えでいくと、ではPCGSにグレーディング依頼するのはどんな人か?という疑問が湧きます。簡単に考えられることとしてはPCGSの方が郵送料が安い、PCGS鑑定の商品を扱いたい、どちらでもよい、セキュリティが強いから、などでしょうか。
2021年11月時点の現状ではPCGSがNFCを採用しており、セキュリティ面でNGCより一歩抜きんでています。
ただ、絶対にPCGSがいい!というのを否定しません。先述の通りPCGSは最高グレードが付いた鑑定枚数がNGCと比べて少ないため、”希少性”はPCGSの方が高いのもまた事実です。
重要なのは鑑定会社よりも、”どのコインのどのグレードをいくらで購入するか?”です。投資の目的や予算に応じて適したコインを適切な価格で購入しなければなりません。 そのお手伝いをするために私がいます。
綺麗なコインや将来性に賭けるならモダンコイン、安定的に資産を守るならアンティークコイン、などのように投資の考え方や目的によって選ぶべきコインが異なってきます。高いお金を払ってコインを購入するのですから、安物買いの銭失いにならないように気をつけてください。